バインダー2態



教科書どおりの作り方をしていくと、バインダーのところに行き着くわけでして、 しかし、バインダーはけっこうな価格の品らしいとのウワサであります。 教科書などを見ていると、「作れ」ということですし、ギャリソンタイプのバインダーは作るにも簡単そうだし、 ということで、バインダーがいくらで売られているか知らぬまま、制作をしたわけです。


バインダー制作の副産物

簡単テンショナー
 バインディングスレッドをある一定のテンションをかけるために、テンショナーは必需品のようです。
あちこちで紹介されている、ミシンについているようなテンショナーは、どうもうまくいかない。あれは平ワッシャー にはさんでやるくらいの考え方では、糸が逃げるんでないかな?などと考えまして、 ボビンから直接糸をとれて、単純で安価なものが欲しかったので、こんなものを作ってみました。なお、 「図ではわかりにくい」という方は、下の4スレッドバインダーのところに写真でのっけてあります。
この方法だと、糸が逃げようがないので(あたりまえか)そのへんのトラブルからは解放されますが、 ほぼ点でテンションを作るので、糸の「より」をしごいて取ってしまう傾向があります。

テンショナー 材料
○ヒートン・・・2個
○皿ネジ ・・・1個
○スプリング・・1個
○ワッシャー・・2個
○ナット ・・・1個
(皿ネジ、ワッシャー、ナットは組になるもの)
 作り方を説明する必要はないと思います。こんなものでも、テンションの調節ができますから、じゅうぶん機能します。 ただ、糸と触れるヒートンが摩耗しやすい(ヒートンの材質のため)ので、時々確認しておく必要 があります。減ったら、半回転締めてやればいいのですが、次に減ったら交換です。
皿ネジの頭は滅多に減りません。一応浸炭焼き入れされているはずですから。


エンドレスコード
 結んであるものを使うと引っかかるので、やはり結び目のないものが欲しいです。できれば 1本のヒモから簡単に作れて、しかも丈夫で安いものが・・・と言えばキリがないです。
いろいろ試してみて、結局こうなりました。
エンドレスコード 材料
○照明のスイッチヒモ・・・適宜
○フライライン(お古)・・適宜
この照明のヒモですが、なるべく長い方が良いので、従来のヒモを延長するタイプの「ものぐさヒモ」 を使います。こいつは、100円ショップや、ホームセンター、電気店にかわいらしいキャラクターの お人形さんなんかがついておいてあります。 そして、このヒモの編み方がすばらしいのです。袋状になっていて、引っ張られると、直径が縮みます。
このことを利用して、この袋状の穴の中に、天寿を全うしたフライラインを差し込み、ヒモを接続します。 接続部はヒモの両端が来て、毛羽だっていますので、ライター等であぶってしまいます。
これで出来上がりです。フライラインの入っている部分が多少柔らかさに欠けますが、ティップ部分も 問題なくバインディングできていますし、接続部からはずれたことはありません。


ひとまず、ギャリソンタイプのバインダーを作って見た訳なんですが、使ってみると、 ブランクがぐるぐる回転しながら自走していく様を見るにつけ、「実によくできた道具だなー」とつくづく 感心させられるのですが、残念なことに納得がいかない部分があります。

ギャリソンタイプのバインダーの構造はエンドレスコードにつるされる「あの錘」 でセクションを締め付けて、その締め付けている間に、戻らないように糸を巻き付けてしまう というのが、主な働きでしょう。きっとそうだ。
さて、実際に使ってみると、このバインダーの悪いところは、ねじれる、滑る、後かたづけがたいへん といった短所があるようです。
このねじれに関しては、ロッドが円錐状をして、竹の弾性がある限り、この構造ではねじれが生まれてしまう ような気がします。つまり、エンドレスコードが直径の違う部分で一定で動いているなら、回転数に差が 生じることがその理由です。
さらに、そのスピードです。ハンドルを一回転させると、セクションはひどく回転するんですよね。 当然と言えばそれまでですが、ティップ部を巻いているときでは、バインド前の部分が、 ちょっとほかの場所に引っかかるだけ で、ひどくねじれてしまうのは想像に難くありません。
そして、接着時はエンドレスコードがベトベトになって、あとかたずけがたいへんなのがどうも気に入らない。 元来、接着というのは焦りやすい作業ですし、バインドをさっさと終わりにして、曲がりをなおしておきたいですしね。


そういった訳で、簡素機を作って見ました。
ものぐさバインダー名付けて「ものぐさバインダー」。要はバインドできればいいのさ。 私の信条である「装置は、シンプルであるほどトラブルは少ない」はずなので、 思い切って、駆動するハンドルとプーリーを取ってしまい、エンドレスコードを自らの手でひく ようにしてやりました。これで、駆動系のトラブルは激減したのでした。 作ったというのもおこがましいような代物です(事実、ギャリソンタイプをばらした)が、それでもきちんとバインドできます。 特にティップ部分では、微妙な手加減ができますので、それなりに気に入っています。 オリジナルは、ばらした痕跡が残っていて、撮影に耐えるものではなかったので、図にしました。
がしかし、このバインダー(?)の弱点は、接着には使えないということです。何しろ手に エンドレスコードが張り付いて、どうにもならなくなるんですよね。もちろん、ねじれに対しての解決策は 施されてありません。



4スレッドバインダーを作る
ギャリソンタイプのバインダーをいじって、ねじれを減少させる対策を考えるのはやめることにしました。
そこで、いろいろと調べて見て、「Secrets of the Bamboo Fly Rod」 (Ray Gould著)で紹介されているバインダーを作ることに しました。この種のバインダーはMaxさんのホームページで紹介され、 clarisさんのホームページには 制作の様子が詳しく紹介されています。
若干アレンジして制作してみました。
全景 プロトタイプが本チャンになってしまったため、プーリーが合板でできていますので、若干見苦しい点をお許しください。
ハンドルが付いていますが、主にフレキシブルシャフトを使って、旋盤で駆動します。このバインダーには、自走する機能が ありませんので、両手が使えるほうがいいからです。
テンショナーのアップ スレッドのテンションは、スレッドをバネばかりで引っぱって調整します。
2つのスレッドのテンションは同じであることがよさそうなので、一つずつ調整するのは面倒ですから、「簡単テンショナー」 の利点を生かして、2本を一つのテンショナーで管理します。
バインド状態 こんな具合にバインディングされます。

このバインダーだと、接着時のバインディングでわずかなねじれで済みます。また、おもしろいのは、スレッドのテンション調整が うまくいくと、ブランクが中にういた状態でバインドされていきます。