工房新築計画(ガレージとも言う)



はじめに
我が工房によくいらしている方でも、おそらく忘却の彼方へと行ってしまっていたでしょうが、実は工房の屋根が雨漏りをしておりました。原因は屋根に乗っていた太陽熱温水器のユニットを使わなくなったので、それがぞんざいに扱われて、老朽化した屋根に穴をあけてしまったと考えられます。
まず、修理を考えてみますと、屋根どころか工房のある小屋自体が老朽化しておりまして、いたみも激しく、屋根を直しても良いモノかどうか悩ましい状態でした。
 一方で、我が工房の隣には、トラクタを格納するための下屋が伸ばされておりました。やはりこれも家の新築に伴い、庭に土を入れまして、その下屋には一時的に引っ越し荷物を入れ、トラクタはシートをかけられて露天にさらされておりました。ところが、下屋の整理がつきはじめ、そろそろトラクタをしまってやろうかと算段してみたのですが、盛り上げた土のため、トラクタが天井につかえて入れられなくなってしまっていたのです。小さなトラクタとはいえ、乗用車以上の値段がしますし、なにせフルオープンの車両ですから、なんとか屋根の下に入れるようにしなければという状態に追い込まれたのであります。

そういったわけで、実に安易ですが、新たにトラクタを収納するガレージ兼工房を手に入れてやろうと画策したのです。
田舎住まい(しかもネイティブ)ですから、こういった物を建てる場所だけが困らないのであります。
まず、どういったモノが良いかと思案しまして、近くのホームセンターで、スチールのガレージを見に行きます。お値段的には50数万円から70数万円程度でガレージと工房のスペースを確保できるモノが入手できそうです。しかし、私の建築関係のブレインによりますと、それだけ出資するなら大工に頼んでも同じだそうで、私もスチールのそれはあまり好きではないですから、木造で建物を自分の都合にあわせて作ることにします。
さらに、どうせうやるならいっそ安く済ませてしまえと無謀にも「自分で建てる」ことにしたのです。時間がないのにどうやるのでしょうかねえ。

  設計
どういうモノを建てるかということになりますと、やはりトラクタが入らないことには話になりません。つまり、奥行きは4.5mが最低でも必要です。さらに、工房としては、旋盤やフライスなどの据え付けの工作機器がおけるスペースも然りです。
また、私のプレーニングフォームは一番長いのが2mなので、それを扱えるようにしておかないといけません。オーブンや、丸竹などはトラクタの上を使うようにすれば、わりと小さなスペースで収まりそうです。
そういったわけで、大きさは二間(間口)×三間(奥行き)とすることにしました。このサイズですと、約60%をトラクタのスペースにさくことになり、工房分は従来通り床面積で四畳半ほどのスペースとなり、今の工房とほぼ同じ面積+上の空間となる予定です。

とりあえずきちんとした設計図はありません。その都度かなりラフなスケッチで考えようと思います。
ある意味当然のことなのですが詳しく設計しても、きっとその通りにはならないから、この程度で良いのです。???でも、柱のピッチと屋根の勾配だけはきちんと計算しておきます。
木造ということで、入手できる木の都合で設計をします。我が家の近所のホームセンターでは、2×4材を安売り合戦しておりまして、12ft物が400円台半ばで購入することができます。そんなことからこの材を使うことにします。となると、当然12ftまでの材しかないことを念頭に置いて始めます。


基礎工事
 さて、いよいよ実際に工事が始まります。まず、基礎工事です。杭を打って・・・。ちらりと写っていますが、手作りの水盛り管(涙!!)で水平を出します。
柱部分は大きな穴を掘って、採石を入れ、よーく突き固めた上に市販の沓石をのせて、周囲にコンクリートを流し込みます。ついでなので、土間コンの下地に砕石を敷いておきました。ちなみにここまでで3日の働きですが、実質2週間かかってしまっています。
コンクリートが乾いたら、回りにブロックをおきます。これは、なんてことはない、布基礎風にしたかったので、こんなことをしています。また、土間コンをうつ時に便利かなあと思ったということも理由の一つです。コンクリートを入れて、その上にブロックをおき「コンコン」てな具合で位置をあわせます。
こんなふうに書くと、簡単そうに思えるでしょうが、実際は悪戦苦闘です。なにしろ道具がありませんし、経験も不足していますからねえ。水盛り管はホースと透明のチューブをつなぐためのコネクタを真鍮から削りだしていたりします。また、コンクリートを練るために、「じょれん」を適当な廃材から作ったりして…。




棟上げ
基礎の沓石にはほぞ穴と羽子板がついているので、柱は補助なしでも立っていてくれるだろうとぼぞに入るようにきざんでおきます。4隅の柱はきちんとした角材を使っていますが、その他は2×4材を2枚あわせて柱にします。お値段的にこれが一番安くて、1000円以下の柱ができあがるのです。同様に梁は2×6を2枚張り合わせ、うち一枚は中央で接いで使います。



さて、柱と梁がきざみ終われば、いよいよ建て方に入ります。柱を沓石のほぞに打ち込んで、羽子板にビスを1本打って仮止めしておきまして、「倒れませんように」と祈りつつ梁をかついで載せます。これがやたらと重くて、根性が入ってしまいました。2×4の工法では、一枚ずつ持ち上げて現場で張り合わせるらしいのですが、そんなことはきざんでいるうちに忘れてしまう性格なので、つまらないところでたいへんな思いをしてしまうようです。
梁をのせたら、落っこちませんようにと祈りつつ、片方をシャコ万で仮止めして、もう片方に飛んでいきビスで固定します。なんだかんだ言いながら梁が4本渡りますと、ずいぶん家のように見えてくるものです。

さて、梁が渡ったら、柱の距離を決めるため、何という部分か知りませんが取り付けます。これでこの建物は最低でも平行四辺形にはなることが決まりました。つづいて、屋根に取りかかるため、きちんと柱が立っているように「すじかい」を仮に入れておきます。水盛りをした時の杭を利用して何カ所か入れ、開口部には2×4材で丈夫に入れておきます。

続いては屋根に取りかかります。実は、屋根の材料はまったく考えていなくて、屋根の勾配からすると瓦は載らないから金属板になるのです。とりあえずルーフ材ってやつはどんな物があって、どのくらいするのかホームセンターに見に行ってみました。そこで問題が発生したのです。トタンの波板が大安売りをしていまして、前回チェックした値段の半分程度になっていたのです。そうなりますと、もう選択の余地はありません。すかさず電卓の売場まで行って、必要な枚数を計算して仕入れてきたのでした。しかし、波板だけの掘建て小屋風にしたのでは「冬は冷房、夏は暖房」となるし、屋根に雪があって、日中暖かくなったり、中で暖房したりすると屋根の裏につゆがたまって落ちてくるので、工作機械を置くことには少々抵抗を感じたりします。そこで、屋根が波板になったからとはいえ、下地には手を抜かないようにします。次に屋根を葺き替える時に、ルーフ材もつかえるようにしておくことにします。
接いだ垂木実際の作業ですが、まずは垂木を組んでいきます。えらくオーバークオリティーなりますが、面倒なので2×4材を使います。1本では足りませんからハスにきざんで接いで使います。実は、垂木を収める部分をきざむのに「のみ」がありませんでした。さびているのならあったと記憶していたのですが、引っ越しのどさくさで行方が知れません。そんなわけで、少々強引ではありますが、ルーターにエンドミルを付けて、手持ちで「ミーーーン」ときざんだのであります。
垂木が組終わったら、屋根の下地として合板を打ちます。いよいよ無駄に大きい私が屋根に乗らなければならなくなったのであります。なにしろ梁と垂木は接いでありますから、やはりちょっと心配です。ですが、案ずるより産むが易しとはよく言った物で、かなり丈夫な建物で、柱とわずかな筋交いで私と合板すべてを支えられたのでした。
さて、合板を打つ作業はそうめんどうなことはありませんで、最初の一枚を打つ時にゆがみを少し矯正してやっただけで、すべての板が予定通りに収まりました。そしてその上に波板を支える角材を打っていきます。しかし、これらの作業ではたくさんのビス使わなければならず、ドライバードリルのバッテリーがすぐ無くなってしまうので、閉口しました。充電は1時間程度で終わるのですが、何本もビスを締めるので仕事も1時間足らずしかできないのです。それに、めいっぱい使った電池は発熱して、すぐには充電器が受け付けません。しかたがないので電池のカバーをはずしてダスターでエアーを吹き付けて強制的にさましてから充電していました。賢明な方なら、新しくバッテリーを買って、充電しながら作業をすすめるのでしょうが、今までのドライバドリルの使い方を考えると、そんなに酷使したことはないのです。それに一個のバッテリーで不自由を感じたことはほとんどありませんから、買ったらきっとなくすに違いないのです。そんなわけで、数千円のバッテリー分は材料に回すことにします。なお、充電中は電気ドリルを使ってネジを締めていましたが、スピードが調整できないし、トルクは太すぎるしでこれもまた閉口してしまいましたね。大きな声では言えませんが、結局コード式のドライバドリルを買ってしまったので、さらなる出費となっています。(涙)

屋根がついた  次はいよいよ屋根を葺きますが、実は、これが一番やっかいだったのです。お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、今までの工程で、金槌と釘を使っていません。なぜなら金槌で指を打ったら痛いじゃないかと考えているからです。まあ、指を打たないようにすれば良いのでしょうが、それができたら苦労はしないのです。それになぜか私が釘を打つと、あわせていた物がずれたりしますから、たたくやりかたは苦手な意識がいつもあるわけです。私の頭の中では叩く=ずらすため・はずすため・壊すためなのです。ですが、この波板を使うならやはり釘のほうが安いので、しかたがないですね。そんなこんなで、作業も屋根葺きに入りますと、高いところもなれてきまして、さくさく歩き回わって、仕事ができるようになったのであります。ですが、きちんと指を打ったのはいうまでもありません。
窓 窓を取り付ける外装にはサイディングを貼る予定ですから、その前に窓を付けておかなければなりません。窓といっても、元々我が家で使っていたアルミサッシを使います。つまり、中古なのです。とりあえず、間柱を入れて、サッシの枠に木で枠を組んで、胴ぶちの分だけ外にだして収めてやります。あまり苦労というほどのことは無いのですが、きちんと窓が閉まるように入れてやります。ひとまず窓が収まりますと、なかなか「らしく」なってきます。特にこの部分は、工作機械がはいる予定になっていますので、直射日光が機械に当たることがないように、小さい窓にしておきます。
実は、窓に使ったアルミサッシはすべて中古です。





じょうぶにしよう
矯正  窓がはいりましたので、今度は「すじかい」を仮の物からきちんとした物にしておきます。材料のレパートリーが少ないので、2×4材を使います。まず、建物のゆがみをロープとタイダウンベルトで矯正して(涙)やってから、シャコ万ですじかいの材料を仮止めして、実物あわせで墨つけをしてやります。







外壁終了外壁
さて、ついに外壁となります。とりあえずガレージなので、内壁は無くても良いだろうということで、簡単そうなスチールの断熱サイディングにしようと考えました。まず、いったいどのくらいするかと調べて見ますと、ホームセンターに置いてある物や、ネットオークションで出ているものなどは、けっこうな値段がしてしまうようです。とりあえず、知り合いの大工さんに相談してみたところ、上記で扱っている値段よりも、かなり安くお世話してもらえることになりました。とはいえ、暗に来春までに竿を作るという交換条件を示されたに等しいですが、2万円くらいは安く入りましたからよしとしましょう。
とりあえす尺5寸に胴ぶちを入れまして、使ったサッシが外壁の外から取り付けるものだと言うことが判明したため、いったんはずしてしまいます。もっとも枠が残っていますので、現場あわせでサイディングを貼ります。サイディングは軽いので、作業は実に簡単です。雨の関係で、ちょっともたつきましたが、ひとまず無事に貼り終わりました。
入り口が大げさでしょ(笑)なにしろ元我が家の玄関をそのまま使ったので・・・まさに「過ぎたるはおよばざるがごとし」状態です。また、一部外壁がありませんが、ここには家族対策で下屋を出す予定です。ちょっとした物入れと、植木をおく場所を作ります。  ところで、このサイディングですが、裏が銀色でして、ちょっと変な感じがします。 やっぱり内壁があったほうが良いのかなあ。


ひとまず、ここまで。


Koba's Factory