オーブンを作れ(追加公開)(副題:全自動が欲しい)


 トースター型のオーブンで触れましたとおり、一部しか火入れを行うことができない ため、長時間付きっきりとなってしまいます。さらに間抜けなことに、作業中にオーブンが奏でる 「チーン」はいただけません。(面倒だからはずしてなかった)
この時間を、ほかの作業にあてることができたら、さぞかしらくちんだろうなと思い、オーブンの 全自動化に踏み切ることにしました。

第2号機(全自動オーブン編)
背景
 全自動型のオーブンとは、そもそもなんなのか、とりあえず「The Lovely Reed」(Jack Howell著) に紹介されているオーブンを少々アレンジしてみます。


そういったわけで新機能を付加して作成いたしました。

新機能の内容
その1・・はじめは一気に温度を上げ、ちょろちょろと温度調整する「温度上昇加速機能」
その2・・熱いオーブンの中に手を突っ込まなくてもいい「どこでも置けるのさ」


注意事項
感電したり、ショートしたりしないように気を付けましょう。
電気の工作にはテスターが必需品です。
これを製作するようなことがあるときは、注意のうえに充分注意して行ってください。

作成方法
1)用意するもの(保温資材を含まず)
 
○幅60mmの軽量Cチャン・・・2本(もらってきた)  
○ニクロム線(300W)・・・・2本(@180円)  
○耐熱の被覆資材・・・・適宜(480円/3m)  
○端子およびガイシ・・・適宜  
○グラスウール・・・適宜(250円/たくさん)  
○蝶番とパッチン ・・・適宜  
○アルミサッシのアングル・・・2本  
○サーモスタット・・・一つ(@9600円)
○帯状の石綿・・・1.5m(780円/m)
○耐熱テープ・・・適宜(980円/10m)


2)つくりかた
基本的構造  オーブンの釜にあたる部分を軽量Cチャンネルを腹合わせにしてこさえます。 修理のために、片側に蝶番をつけて開くようにしておきます。なぜに、これほどごついも のを利用するかというと、もらえたからという以外の理由はありません。ですから、もっと薄い もの(トタン板とか)ならば立ち上がりは良くなるはずです。(ただし立ち上がりのみ)大型のオーブンになり ますが、容量が少なく、表面積が大きいですから放熱量もさぞ大きかろうということで、 均一に温度が上がるよう、ニクロム線を全体にわたりはわせてしまいます。発案当初 は、電気コンロのようにニクロム線を納める部分を焼き物で作るつもりでしたが、や はり立ち上がりを考えるとなるべく断熱効果のあるものを選ぶことにしました。そこ で選ばれたのが、石綿です。煙突などの隙間を埋めるためにリボン状になって売られ ていたものです。石綿は世間さまでは嫌われていますが、それは建築資材のことに違 いないと割り切って使います。この石綿はチャンネルよりも幅の広いものを用意して おき、中心がへこむように設置します。石綿の下にアルミサッシの部品(いったい何 に使うのかわからん)のアングルをおいてしまうのも手です。そして、ニクロム線が ショートしないように、2本のニクロム線の間に耐熱の被覆資材を横たえて置きます。
次は、熱が直接逃げないように、蝶番でつないだ部分に耐熱テープを貼り、目止めを してしまいます。 パッチン側については、一枚で貼ると、開けられなくなってしまうので耳をつけるよ うな感じで貼り付けておきます。こうすることにより、テープが柔らかいので、締め 付けられて隙間がなくなるという寸法です。


ニクロム線配線図 だいぶ形になってきましたが、ここからが面倒な電気工事です。用意した温度調節器 は、ヒーターのコンセントを直接差し込むタイプなので、ヒーターの部分として仕上 げてやります。写真のようにニクロム線は両端に端子を付けてやります。
今回のニクロム線は、電気コンロの交換部品として売られているものを並列につない ぎます。発熱量の関係から、電源へはオーブンの両側から接続してやる必要があります。 みっともないのですが、コードが外に長―く出てしまいます。


温度上昇加速機能
電気式のオーブンで、特に、熱源が直接内部の空気を暖める方法では、まず最初に空 気が暖められ、その後に本体が暖まります。そのため、本体が冷えているときは、や はり温度の下降も激しくなることは避けられません。そのために空運転が必要になっ てきます。この温度の上昇を早めてやるためには、大きなエネルギーが必要なので す。しかし、本体が暖まりますと、大きな熱源では竹の表面をこがしてしまうなどの 原因になります。つまり、オーブンとして重要な機能は、大熱源でたちまち暖め、そ のあとは小さな熱で、ちょろちょろと温度調整をしてやることが理想だと考えられま す。そこで、プラスアルファということで、このオーブンに温度の上昇用の機能を付加してやります。 能書きはいくらでも書けますが、実際には、2本のニクロム線であたため、一つを消 して温度調整することにします。 いったいどうするのかといえばやり方は単純です。ニクロム線の並列を解除してやる スイッチを一つ設けてやります。

組立る
たいして手間はかかりません。かんたん簡単。
オーブンの周りをグラスウールなどで、保温してやると熱が逃げなくて良いです。


本体の外観、保温資材を付ける前です
全景
中の様子。ふたははずしてあります。(巡航中)
中の様子
サーモスタットと温度上昇加速機能のスイッチ
サーモと加速装置
ふたをしたところです。中央付近はサーモのプローブ、上のすみは蒸気ぬきのパイプです。
茶筒のようにすっぽっと入ります。
フタ
フタを引っぱるとこうなってます。つまり、引き出し式になっていて、ブランクを納めるレールが、ふたについているわけです。Cチャンを腹合わせにしてあるので、ミミにのせると、こういう仕掛けを納めるのは簡単です。3ピースまで対応するため、レールは10mmのアルミアングルを3本、2.5mmづつはなして設置しています。
お気づきのかたもいらっしゃると思いますが、上の写真に写っている金網は、温度計のプローブをとりあえずのせるため置いただけのものです。あしからず。
引き出し式にしますと、熱いオーブンの中に手を突っ込まなくてもブランクを置くことができますし、レールがあるので、隣のと接触することなく、まっすぐに置けるようになります。
好みの問題ですかね。私は重宝してます。
引き出すと


操作方法について
設置
このオーブンは設置するときにちょっとだけ気を使います。暖かい空気は上に上がるので、きちんと水平を出して設置 してあげましょう。傾いていると、温度むらの原因になります。

竹を入れるには
竹の投入時  竹を入れる前に、10分ほど空運転を行いオーブン内の温度を上げておきます。
ですが、せっかく温度を上げても、ふたを開けてレールを引き出すと、熱気がすぐに逃げてしまいます。 さらに、冷たい竹が入るので、少しでも熱が下がらないように、私は図のようにしています。 こうして竹をいれてやったほうが、サーモのONの時間が短いので、温度の下がりは少ないような気が しています。
私の場合、つり下げて使っていますから、このように傾けてやると、レールを押し込むときにオーブンが 逃げてぶらぶらしにくくなるようです。

火入れのレシピについて
 いろいろな本に紹介されているレシピをやってみたところ、ほとんどの方法で、竹が真っ黒になって しまいました。こんなことから、たぶん、火入れのレシピは、その人のオーブンを使わないと再現できないような気がしますので、自分のオーブンはどの程度が良いのかとレシピを模索しています。ひとまず、7フィート用の材料を160度で25分やると、水分は抜けて色が少し変わる程度のようです。



おまけ
今回は非常に難産でした。「ただのまねじゃあねえか」と言いたいかたもおられるでしょうが、 熱源が、どの程度のものが必要なのかということを検索するだけで、だいぶ時間を費やしてしま いました。特に、洋書などで紹介されている方法は、日本のプアーな100V電源では、大幅にパワー ダウンしてしまいます。かといって、あまりポピュラーでない熱源は、メンテのことを考えると どうにもならないですからね。やはり、ニクロム線になりますが、この線は切れやすいのでメンテナンス性 も必要になってきます。

このオーブンは、200度まではコントロールできます。(サーモとの関係上)
温度上昇加速機能を使って、10分くらいは、空運転が必要ですが、いったん温度が 上がってしまうと、あとは、300Wで充分維持できます。175度の設定では、 巡航に入ると、ヒーターonが20秒、offが30秒くらいのサイクルで維持できる ようです。






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