リールを作る その2



設計する
 リールのような、ある程度複雑な加工品は、フェルールをつくるような訳にはいきません。できれば、工程をよーく考えてから取りかかります。設計図をおこしてやれれば、それが一番良いのですが、工程がしっかり考えられていれば、「おっつけ大工」でも特に問題はありません。とにかく重要なのは、あなたの頭のなかで、材料をリールに変えることができるかどうかです。旋盤で加工する場合、とかく基準をどこにするかを考えて取りかかることが必要です。いつもリールのスピンドルを基準にできればいいのですが、そんなことは、小さな旋盤では無理なので、精度よく作らなければならないところと、そうでもないところを計画の段階でよく練っておき、捨てるところを決めておくことが重要なのです。 今回のリールは、スピンドルシャフト位置にあけた5mmの穴を基準にします。この基準は、最後の最後まで変更することはしません。

根性のフレーム編

材料について
 設計がMoriyaさんと同じものを作りますが、私の場合は、鋳造でなく、削りだしで作成することにします。鋳造も、材料が無駄にならないので、魅力があるのですが、私がなにをしでかすか、おおむね想像できるであろう鋳物屋の友人から、個人レベルでの鋳造は非常に危険とのアドバイスもあり、自分のフィールドでの勝負となります。 まず、材料は無垢材から削り出すのが一番良いのですが、リール一つが削り出せるほどの無垢材は、値段が高いので、最初の挑戦ということもあり、アルミ板を組み合わせて作ることにします。正確に言うと、注文した材料が、まだ届かないので、仕方なくというのが本当のところです。 そういったわけで、8mmのアルミ板をつかいます。アルミと言っても、その種類は、たくさんありまして、どれを使うかが問題なのですが、この際、選択肢もあまりないですし、アルミの種類も、おおまかな知識しかありませんので、切削性はいまひとつですが、耐腐食性の高いものを使うことにしました。 このアルミ板を適当な大きさに切り出します。こんなところで、切削油を使うのはもったいないで、水をかけ流して切りました。

トレパニング ○丸くくりぬく
次は、いよいよ丸く切り抜きます。このサイズならば、4つ爪チャックにくわえることも可能ですが、そんなに精度も必要ないしということで、適当な材料を、円形にくりぬき、3つ爪チャックにくわえて、その場あわせの面を作ります。
そこに両面テープを張ってワークを固定、そして、貫通する丸棒を差し込んで、センターで押してやります。
本来なら、こういった場合は面板を使って、作業を行うのが常ですが、振れなければいいのです。横から突っ切ります。この作業は、とにかく時間がかかります。
なかくり 切り抜いた円盤です。面を作るときに、油がきれてちょっと面があれていますが、こんな感じになります。
小さいほうがスプール、大きいほうはフレームになります。
なかくり ○ スプール側を仕上げる
 こいつをチャックにくわえて、スプールが収まるよう中くりをします。ハンドル側はスプールとスペーサーのぶんの深さに広げ、反対側は、スピンドルの圧入するしろを残し、ブレーキと、スプールぶんの深さに広げてやります。
それが終わったら、仮のスピンドルをひとまず、納めておきます。スピンドルは、このあとの工程で必要になります。
スピンドルは、本チャン圧入しても良いのですが、なにしろ私は「おっつけ大工」なので、あくまでも「仮」です。
ゲージ ○穴開け model 44の特徴でもある、ピラーを固定するボルトの穴を、この段階で開けてしまいます。なぜなら、平面のほうが、圧倒的に穴開けが安定しているからです。まず、穴開けをためのゲージを作ります。適当な板に(塩ビ板を使用)、正確にけがいてボルト位置を決め、同じ径で穴開けをして型を作っておきます。
このゲージを裏側のスピンドルに差し込み、型に合わせて、まず一つ穴を開けます。今度は、開けた穴にドリルのつかみしろ(要は径が同じならば、なんでもいい)などを差し込んで、穴位置がずれないようにしてから、すべて穴あけします。
次は、ハンドル側に穴を開けるのですが、先ほど使った塩ビのゲージは、柔らかい素材のため、反復使用するには、ちょっと難があります。無理をして、裏側と穴位置がずれてしまっては、もともこもありませんので、先ほど穴開けした裏側をゲージにして穴をあけていきます。両側の材料をスプール側が中にくるように合わせて、前記したとおりに、一つ穴を開けたら、ドリルを入れて他の穴を開けます。
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