オーブン作成裏話



 実験室でも紹介していますが、つい先ほど、全自動型のオーブンができあがりました。
「この程度の物はかんたんだーい」と思っていましたが、以外に面倒な代物でした。
適当な熱源の検索から始まって、熱源により変化する釜の内容積、そして、サーモの問題。
テストにテストを重ねて、ずいぶんと長い間こいつに時間をとられていたような気がします。 「ご破算に願いましては」と何度となく構想を練り直すことがしばしばでありました。
あまりに面倒な品物だったので、このことについて個人的見解を言ってみたいと思います。

まず、ニクロム線を熱源に使うということが、問題で、あいつは、基本的に裸なので、ショートしないように 励まなければなりません。ストーブの部品などには、セラミック製の端子なんかがたくさん使われているのですが、 なかなか私のような素人には手にいれられません。

そして、私自身の問題です。具体的には火入れの温度の問題です。
私の認識、いや常識では、基本的に、気温を測定するのは実に難しいのです。なんのことだかさっぱり のかたもおられるでしょうが、オーブンの中のような空気の温度を測定するのは厳密に言うとほぼ無理なのです。ロッドビルディングの 世界では、まことしやかに温度のことが語られていますが、これを気温を扱うほかの業界から見たらどうなのでしょう? 答えは「否」です。なにしろ空気は伝導率が低く、優秀な断熱材ですからね。
とにかく気温を測定するためには気を使います。その方法が明確に記載されていないならば、その人の 持っているオーブンを用いない限りそのデータの再現性はないのです。
案の定、ほとんどのレシピで上手くいかず、何本ものテストピースを炭にしてしまいました。
うまく行ったのは、「フライロッドを作る本.磯村正巳著.山と渓谷社」のレシピのみだったのです。


とはいえ、なんとかできあがったのですから、そんな面倒なことは考えずに「わしの作ったオーブンは 磯村さんのレシピで火入れができるんじゃー。」ということにしたいと思います。
なにしろ、オーブントースターに比べたら、勝手に温度調節はしてくれるし(疑わしいですが・・・)、 一本まるまる火入れができるし、消費電力が大幅に減って300Wならば言うことねえや!
結果オーライなのだ。私はアマチュアなのですから。


Koba's Factory